レディースコミックが衰退してからというもの、ボーイズラブ界に流れてきたレディコミ作家がちらほらいらっしゃるようですが、かんばしいウワサは聞きません。
私はレディコミとホモエロは全く別物で、いくらレディコミの女を男に変えても、ホモエロにはなんないよーと思っています。
レディコミとホモエロの間には見えない深い川が流れているので、かなり転身は難しいと思うのですが、その川を軽やかに飛び越えた作家もいます。
今日のホモ
「ため息の温度」 国枝彩香 竹書房・バンブーコミックス
家庭の中の問題児だった純の前に家庭教師として現れたのが兄の友人の祐也だった。
祐也は今まで出会った誰とも違い、兄に劣等感を感じていた純を優しく認めてくれた。
祐也に仄かな恋心を抱き始めた時、祐也の密かに思う相手が兄であることを知った純。
兄にばらすと脅し、無理矢理に祐也と身体の関係を持つが・・・・・!?
十数年前から(もっと前かも)、「YOUNG YOU」で活躍されていた坂井久仁江さんです。
ホモ系の話は国枝彩香のペンネームに変えられている御様子。
さかいくにえ → くにえださいか 「だ」を加えたアナグラムですねー。
国枝さん好きです。というか、他のホモ漫画家より一目おいてます。
理由は・・・・、デッサンが崩れないから!!(笑)
なーんていうのは冗談ですが、でも目は笑ってなかったりするかも。
ホモエロ漫画家でデッサンがとれた絵を描ける人が少ないのは、悲しいけれど現実。
本当に一目おいている理由は、作品の振り幅が狭いから、です。
最高傑作だと思う作品は残念ながらありませんが、大きくはずさないのがスゴイ。
どんなプロ作家でも全作品が素晴らしいということはなく、つまらない作品が混ざるのは当然のことだと思います。
ただ、そのつまらない作品を、どの程度のつまらなさに留めることができるかで、その作家の実力が計れるような気がします。
国枝さんの作品はイマイチだと感じる作品でも、そのつまらなさがプロレベルの範囲内。
大ヒットを飛ばしてファンに熱烈に愛されるアイドルタイプの漫画家ではありませんが、安定した演技を見せる玄人俳優タイプの漫画家だと私は思います。
華々しくはないものの、その渋さと巧さに好感を抱いてます。
未読の方には「未来の記憶(ビブロス)」がおすすめ。既刊本の中で一番好きです。